講演録
講演録
研究結果に基づいた講演で用いた、パワーポイントの一部を公開いたします。また、それに寄せられた感想も一部載せさせていただいております。
内容をご覧になりたい方はパスワードをお伝えいたします。「contact」のページよりご連絡ください。
また、これまでの講演一覧については、こちらのページ「リサーチマップ」の下部、「社会貢献活動」の一覧をご覧ください。
<愛着障害にかかわるもの>
子どもたちへの対応で教師が疲弊しきってしまうことがあります。子ども、教師双方に起きていることを説明し、対応案を提示する内容です。
<ご感想>
(保護者の方)
昨日授業参観だったのですが、私が下駄箱に着くと息子が泣きながらやってきました。
本人の話をまとめると、給食の片す順番が(前の子が手間取って)先に片さなくてはいけなかったのが嫌だったようでした。以前の私なら「そんな事大した事ないよ」「そんな事で泣かないで」といった声掛けをして、「よりによって参観の日に!」とイライラしていたかと思います。でも大橋先生を見習って、投影同一化理論を意識してみました。
「あぁ。いつもと同じが良かったんだな。次に片そうと待っていたのに、待ち続けることはダメと言われたんだな…」
と思っていると不思議と自分のイライラも収まり、
「そっか。違うのがとても嫌な事だったんだね。でも嫌な事があっても暴れたりしなくて偉かったね」
と心からそう思って声をかける事ができました。
今まで発達の医師に「本人の気持ちに寄り添ってあげる事が大事」と言われていたのですが、それが昨日初めて、やっとできたように思いました。
息子は夜も思い出して「掃除に遅れちゃった」と泣きながらも、「ママを頼っちゃいました」と言ってくれました。「いっぱいいっぱい頼っていいんだよ」と伝えながら、改めて「なんて可愛い子なんだろう」と胸が熱くなりました。
(福祉施設職員 特別支援と愛着障害の小冊子を読んでのご感想)
発達障害という言葉が今世の中に認知されつつありますが、一言で言い表すことのできない難しさや個性があり自閉症と愛着障害を持ち合わせている子供もいます。
私は医師でも心理士でもないので、愛着障害ではないのか?という仮定でしか子どもと接する事ができません、1人の大人としての主観で現場にて感じた事をお伝えします。
あるグループに必ず人に対して攻撃したり、大人が嫌がる事をこれでもかとやる子がいました。私は補助的な役割でそのクラスに入っているので毎日入る事はなく3日入ってまた3日後の様な体制でした。
おのずとわたしへの試し行動も毎回の様にし、クラスに入る度に何か嫌な気持ちになり1日が終わるという毎日でした。その子の事を『かわいくない』と思いましたが絶対に言葉にして職員にいうのはダメだと思い、心にしまっていました。ところがそのクラスの担任の先生が一人で心労で職場に来れなくなり、私が担任の様にフォローする事が多くなりもう1人の担任と問題行動に対する対処方法を取り入れ胃が痛くなりながらも年度末近くの時期だった為なんとか凌げた様な感じでした。しかし私の中の『かわいくない』は消えずそしてなんでこんな思いを抱いてしまうのか自己嫌悪に陥り仕事に向いていないのではと考えていました。
そんな時に大橋先生の講座を受け小冊子を読ませていただいた事で誰しもが抱く感情である事それを外に出す事で見つめ直す事ができる事を学ぶことができました。心労で来れなくなった職員が来る事が出来る様になった時に「あの時大変だったね」と声をかけると「神経がすり減っていく感じだった」との答えがありました。もっと早く大橋先生のお話を聞けていたらもっと良い状態での仕事がお互いできていたかもしれません。
・・・本当にうれしい言葉でした。こういう日常の子どもとのかかわりの中で、そして日々の大変な支援の場の中で役立てていただけると、たくさんの子ども、そして、たくさんのお母さんたちが幸せになれる気がします。
上記の理解が進んでいる教員に向けた内容です。普段何気なく用いているけれども継時的な影響力を持つ言葉と、子どもへのかかわりについてのハウトゥーを求めたくなってしまう心に隠されているものについて省みることを促しています。
<子育てに関わるもの>
特別支援教育において格闘している教師たちの研究によって得られた知見を、養育の場に拡げてきた流れの中で依頼を受けた内容です。難しさを感じながら耐えつつ養育の場にいる人たちに、安心感と希望を提供していければ、という思いがあります。
<ご感想>
(保護者の方)
とてもわかりやすい話でした。ふだんなんとなくもやもやしていたものがすっと落ちた感じがしました。まずは子供より自分を見直そうと思いました。わからないことからの不安、「わからないことをわからないままにしない」という言葉もありますが、わからないことに無理矢理答えを見つけなくて良いと思うと、少し気が楽になりました。
(保育士の方)
・母親たちに対して分かろう、想像をしていこうと思います。おおらか・分かりたい・眼差しを向けることを大事にして関わっていき、何よりも自分が楽しい気持を持ち続けようと思います。
・障害に関わらず、保護者にも伝えられるような内容だったのでとても良かったです。保護者の支援をするにあたって私達がパートナーになりたいと思いました。
(教員の方)
・理論的なものをふまえながら、わかりやすく実例をたくさん挙げていただき、明日から生かせることばかりでした。ネガティブ・ケイパビリティー孤立化しやすい社会だからこそ、広めていきたいことだと思いました。自分自身にも大きな支えになりそうです。
・特別支援教育、障害児者支援ではevidence-basedが大はやりで、それはそれで必要ですが、今日のような視点も欠かしてはならないと思います。Negative capabilityはkey-wordでしょう。
<虐待防止にかかわるもの>
対人援助職の現場にいると、良い支援をしようと学びを求めるばかりに、問題のある支援を行わないように、と自分を責めることもあります。対人援助の場において、良い支援をできているという実感がないのは、この上なく辛いことです。そのような状況からどのように抜け出せるだろうか、一緒に考えていきたいと思います。
<ご感想>
(施設職員の方)
・2人ボッチという言葉が印象的でした。自分の情況にあてはめてみたり、他の職員にあてはめて考えました。仲間を作ることの大切さを感じました。
・ 研修で話されていた内容、一つ一つを自分の考えていたこと、感じていたことに落ちてきて、理解というより、すっきりできた。 今回はあくまで福祉の現場での話ということが前提であったが、テーマとしては全ての仕事や対人関係につながるものであると感じ、大変参考になった。
・今までの研修の中でだんとつ良い研修でした。研修というよりも、心理の先生にセッションしてもらい心のモヤモヤが晴れるようなお話をして頂いた感じがしました。日々抱える悩みも間違ってはいなかったのだと前向きに感じられました。夜勤明けでしたが気持ち晴れやかになりました。
*講演のご依頼は、聖学院大学総務課(048-781-0925)までご連絡ください。